千葉市美術館で開催中の【メアリー・エインズワース浮世絵コレクション-初期浮世絵から北斎・広重まで】を見てきました。
千葉市美術館で江戸関連の展示があるときは、そのボリュームに負けぬよう気合を入れていくのですが。今回も完敗でした。我が家から千葉市美術館は遠いため、2回行くのは大変なもので。せっかくなら千葉市内に一泊して2日がかりで見ればよかったと本気で思ったほどです。
メアリー・エインズワース浮世絵コレクションを見た人は、もれなく【ピーター・ドラッカー・コレクション 水墨画名品】展も見られます。こちらも素晴らしかったので、余計にじっくり見たかったという後悔の念が……。
メアリー・エインズワースさんについて
メアリー・エインズワースさんは1867年にアメリカ・イリノイ州生まれ。来日して浮世絵を購入するなど、25年ほどかけて生涯で1500点以上の浮世絵を集められたそうです。そして自分の母校であるアメリカ・オハイオ州オーバリン大学にそのコレクションを寄贈したとか。
今回初めて里帰りをしたのは、そのなかから選びぬかれた200点。世界に1枚、世界に数枚しか確認されてないという貴重な作品も含まれていました。
開催中の「メアリー・エインズワース浮世絵コレクション」展では、このコレクションにしか確認されない貴重な浮世絵があります。鈴木春信による細版紅摺絵の役者絵は本図を含めて約30図、世界に1点ずつしかありません。研究者も初めて見た!と話題の初期浮世絵を、ぜひこの機会にご覧ください。 pic.twitter.com/csqhxiSt71
— 千葉市美術館 (@ccma_jp) April 20, 2019
メアリーさんは浮世絵の初期の作品が特に心惹かれていたようで、だからこそ世界に一点とか数点しかないものがコレクションに含まれているそうです。素朴な雰囲気がメアリーさんの心に響いたのではないか、と。
1906年、初来日した際に購入したコレクション第一号ではないか、という作品も展示されていました。
優美な立ち姿が魅力の1図、当代一の人気を誇った佐野川市松です。衣装に見える石畳模様は彼を象徴するもので、今でも市松模様と呼ばれています。やわらかな紅絵の雰囲気が残るこの良作は、エインズワースが初めて購入した作品とされ、ここから彼女の素晴らしいコレクションが始まりました。 pic.twitter.com/RhmKXk3BDC
— 千葉市美術館 (@ccma_jp) April 22, 2019
まさか市松模様の市松が人名だったとは……。
メアリーさんのコレクションのうち800点ほど占めるのが、この浮世絵師の作品とか。
5/26まで開催の「メアリー・エインズワース浮世絵コレクション」メアリーは広重を最も愛したそうで約800点のコレクションがあります。今回はその中から選りすぐりの45点を展示。おなじみの「東海道五十三次」「東都名所百景」など、風景画の巨匠とよばれた広重の斬新な構図をお楽しみください。 pic.twitter.com/qAFSq9BAfO
— 千葉市美術館 (@ccma_jp) May 14, 2019
「メアリー・エインズワース浮世絵コレクション」(〜5/26)にある歌川広重作品には、摺り違いを見比べられる面白さも。ゴッホも模写した「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」には対岸に2艘の小舟と壁を白抜きした船倉のある早い摺りのものが。他では見られない稀少な摺りをぜひ展示室でご覧ください! pic.twitter.com/GeDhVEK6nL
— 千葉市美術館 (@ccma_jp) May 17, 2019
一度販売したものを、また図柄や擦り方を変えた別バージョンで販売することもあったんですね。
それにしても、何回か来日したとしても(来日の回数が、私には分からなかったのですが)こんなにも多く収集できるものなのだろうか??と疑問に思っていたところ。最後の章で謎が解けました。
それは、アメリカで浮世絵の売買をするときに作られたという売立目録。かなり立派な冊子で、浮世絵の白黒写真と説明が掲載されていました。メアリーさんは、そういう売買にも参加してコレクションを増やされていたんだな、と。それにしても、こんなにもアメリカでまとまって浮世絵が売買されていたなんて。驚きました。
そしてもっと驚いたのが昭和13年に日本で作られたという「古今東西浮世絵数寄者総番付」。昭和13年時点の番付というよりも、もう少し年代を広げたものだそうですが。そのなかに、メアリーさんの名前もあるという。
松方幸次郎、鏑木清方、竹内栖鳳などなど私でも知っている方々がズラリ。そして、番付の左下に”外人数寄者いろは番付”のなかに彼女の名前が。他にはフェノロサ、ライト(フランク・ロイド・ライト?)、バーナード・リーチの名もありました。すごいなぁ、日本にもその名を轟かせて(?)いたメアリーさん。
購入した絵はがき&缶バッジ&図録
歌川広重『名所江戸百景 大はしあたけの夕立』
歌川広重『名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣』
絵はがきの裏面は、こんな感じです。
切手を貼るところに、『名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣』に描かれている猫が。
北海友松『翎毛禽獣図のうち猿図』(部分)
缶バッジの直径は3.3センチほど。
缶バッジからマグネットに変身させて、飾っております。
千葉から自宅まで、重いけれども嬉しくて抱きしめながら帰宅しました。
世界に1枚しかない絵を、いつでも自宅で見られるし。以前、千葉市美術館で見て以来好きになった鈴木春信の作品も見られるし。浮世絵の歴史というか変遷も、さまざまな浮世絵師の作品も楽しめるし。そして解説も盛りだくさん。
大変大変残念ながら、2015年に千葉市美術館で開催されたドラッカー・コレクション展の図録は売り切れていました。以前、千葉市美術館へ行ったときに迷ったんですが。自分がみていない展覧会だし、と躊躇してしまい。購入しておけばよかった……とほほ。
あとは、今回の展示とは関係ないのですがA4クリアファイルを1枚購入。
千葉市美術館所蔵の『三代目大谷鬼次の江戸兵衛』とPEANUTSのコラボ!
思わず購入してしまいました。