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印刷博物館✕活版印刷三日月堂 印刷博物館で体験する三日月堂の世界

印刷博物館で開催中の【天文学と印刷】展へ行った時に、もう1つコラボ企画展がありました。その名も【印刷博物館✕活版印刷三日月堂】展。

はてさて、活版印刷三日月堂とは??と思いましたら、ほしおさなえさんが書かれた小説で全4巻のシリーズだそうです。
小説の舞台は川越で、主人公の女性は活版印刷所”三日月堂”を経営しているという設定とのこと。なるほど、だから印刷博物館とコラボレーションなのですね。

展示品は写真撮影可能とのことだったので、小説のことをまったく知らないままにササっと写真撮影してきました。
のちに、もっと丁寧に撮影すればよかった……と悔やむことになるのですが。

今回、原作のネタバレのないよう書くことを心がけていますが、作品に興味がある方は私の文章よりも、まずは原作をお読みいただくことを勝手ながらオススメします!

展示内容

ほしおさなえさんが活版印刷三日月堂を描くまでの経緯、三日月堂内のジオラマ、小説に登場する印刷物を実際に活版で印刷したものなどが展示されています。

1 「活版印刷三日月堂」全4巻について

印刷博物館で体験する三日月堂の世界写真

「活版印刷三日月堂」シリーズは全4巻で、それぞれに4つの短編を収録。活版印刷で作ってもらいたいものを注文をするためにお客さんたちが主人公・月野弓子のもとへ訪れるという展開です。なんといいますか、お客さんたちと月野さんのダブル主演とでも申しましょうか。4巻合わせて注文主が16人、注文するものもそれぞれ違うため16の印刷物がでてきます。

この注文主たちの繋がり方も、また絶妙なんです。まだ2巻までしか私は読めてないのですが、ああ、なるほどこういう繋がりなのね!と。
そして月野弓子さんが、なぜ活版印刷所を営んでいるのか?ということも、おいおい明かされていきます。

2 「活版印刷三日月堂」が生まれるまで

ほしおさなえさんのお父様は翻訳家の小鷹信光さんだそうで、アメリカの雑誌やポストカード、地図のコレクションもされていたそうです。

印刷博物館で体験する三日月堂の世界の展示ケース 印刷博物館で体験する三日月堂の世界の展示ケース

印刷博物館で体験する三日月堂の世界の展示ケース
上の写真は、小鷹信光さんが訳された本の原書だそうです。

印刷博物館で体験する三日月堂の世界の展示ケース

上の写真は、ほしおさんが50音のゴム印を一文字ずつ押して自ら作られたゴム印詩集。文字の並び方といい、間隔といい、てっきり印刷なのかと思ったので驚きました。
なんでも、子どもの頃にお父様と一緒に行った印刷所で目にした光景が忘れられなかったそうです。自分の好きなものを大切に心の中で持ち続け、ちゃんとあとで形にする人に憧れます。

3 三日月堂創作メモ

印刷博物館で体験する三日月堂の世界のジオラマ

上の写真は2巻の校正ゲラとのこと。ふむふむ、こういう字を書く方なんだな、と。この時は、あまり本文を読まないようにしていました。なぜなら、どこかでこの本を読み始めそうな自分を感じたので。

4 「活版印刷三日月堂」に登場する制作物について

なぜ、この章を撮影してこなかったのか。小説のなかに登場する印刷物の実物が展示されていたようです。なぜ、ようです、なのかというと。その時は小説のコンセプトを正しく理解できておらず、その印刷物が意味するところをちゃんと汲み取れていなかったです。なので、このコースターや栞の意味するものは??と思いまして。とりあえず撮影してくればよかったのに……と過去の自分に言っております。

シリーズ2冊めまで読んでいるうちに、自分の頭の中で想像(妄想?)する印刷物が、ちゃんと設定と合っているのか確かめたい……という気持ちが沸々と。

と思ったら、ほしおさんがご自身のホームページで写真をアップされていました!

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5 活版印刷三日月堂番外編冊子「星と暗闇」について

なんということでしょう、三日月堂の番外編「星と暗闇」という本がミュージアムショップで発売されていたそうなんです。そういえば、なにか本があったような……。
もっと早く三日月堂と出会えていれば、すぐに購入してこられたのに。

そして「星と暗闇」の他に番外編短編がもうひとつ実在するとか。題名は「届かない手紙」といい、「星と暗闇」と同じ時期を別の人物の視点で書いているとか。

そしてそして、その短編が掲載されたというのは私がすごく気になっていた雑誌。

大人の科学マガジン2017年12月号です。参りました、欲しいという気持ちに再点火された感じです。私、自分で言うのは哀しいのですが飽きっぽい性格でして。組み立てても数枚印字したら満足しちゃうだろうしなぁ、と。
でも、ここでしか読めない番外編、ほしおさなえさんが語る創作秘話も掲載されていると言うし。まさか雑誌発売1年後に、また悩むことになるとは……。

6 三日月堂ジオラマについて

三日月堂のジオラマが展示されていました。

印刷博物館で体験する三日月堂の世界のジオラマ 印刷博物館で体験する三日月堂の世界のジオラマ印刷博物館で体験する三日月堂の世界のジオラマ

ああ、これが三日月堂の正面!小説を読むと、何度かこの入口から見える光景に圧倒されるお客さんたちの描写が出てくるんです。あぁ、もっとアップで視点を下げて撮影してくれば良かったのに(またしても過去の自分にダメ出し)。

三日月堂には、いくつかモデルの印刷所があるそうなのですがベースは荒川区にある”つるぎ堂”さんだそうです。

7 コラボ企画記念制作「雲の輪郭」について

今回のコラボ企画のためにほしおさん、印刷博物館そして版画家・筆塚尚さんと共同制作したものだそうです。版画と小説が1枚ずつセットになったものが6種類と、版画と小説それぞれ7枚ずつセットの特装版もあるとか。こちらもミュージアムショップで販売されているそうです。

もらえるリーフレット

印刷博物館で体験する三日月堂の世界リーフレット

私が印刷博物館でもらってきたリーフレットは三種類。

  1. 一番小さいリーフレットは一階のショップのところで。開催概要やイベントについて記載されています。
  2. A4サイズのリーフレットは地下一階の展示室に置いてあったような(ごめんなさい、記憶が定かでなくて)展示物の説明のほかに、三日月堂人物リレーなる紙もあります。
    登場人物16人それぞれの名前、年齢、誕生日、職業、人物像、好きな食べ物、趣味、そして三日月堂で何を作成したのか、が載っています。
    まさか、そんなに細かく設定されていたとは!!
  3. 中ぐらいのリーフレットは地下一階のチケット売り場の方に「三日月堂の……」と言ったらいただけました。「三日月堂館内ツアーマップ」という名前みたいです。こちらは1人1枚とのことでした。
    印刷博物館にある印刷機の説明、三日月堂の平面図のイラストも載っています。

 

開催概要

[blogcard url=”https://www.printing-museum.org/exhibition/permanent/180807/”]

住   所 東京都文京区水道1−3−3 トッパン小石川ビル
印刷博物館
会     期 開催中〜2019年1月20日(日)
休  館  日 毎週月曜日(ただし12月24日、1月14日は開館)、
12月25日(火)、12月29日(土)~1月3日(木)、1月15日(火)
開館時間 10:00~18:00(入場は17:30まで)
入  場  料 一般800円、学生500円、中高生300円、小学生以下無料  ※企画展「天文学と印刷」展も見られます。個人的には教科書で文字だけ見たことのあるあの本があっちにも、こっちにも!と興奮して大変楽しかったので宜しければ是非。
印刷博物館について東京都文京区にある印刷博物館のご案内です。 基本情報 〒112−8531 東京都文京区水道1丁目3番3号 トッパン小石川ビル ...

イベント

もう少し早ければ特別イベントもあったようなのですが、これからでも参加できるイベントが2つあるようです。
内容など変更がある場合もあると思うので、印刷博物館の公式ホームページでもご確認ください。

[blogcard url=”https://www.printing-museum.org/bottega/”]

つくるコース

自分で活字を拾って組んで印刷まで体験できるワークショップ。

開催曜日・時間 木〜日曜日・祝日の15:00〜
参加費 入館している人は無料で参加可能
所要時間 約30分
受付開始 開始10分前
定  員 6名(先着順)
作るもの 2018年11月1日(木)〜12月28日(金)は欧文グリーティングカード
2019年1月4日(金)〜1月20日(日)は和文一筆箋

 

知るコース

印刷工房を見学し、三日月堂の「栞」が印刷できるコース。

開催曜日・時間 火曜・水曜日 13:30〜/15:30〜の2回
参加費 入館している人は無料で参加可能
所要時間 約20分
受付開始 開始直前
定  員 10名(先着順)

 

結論

もっと早く三日月堂と出会えていたら、企画展【天文学と印刷】展ともどもダブルで存分に楽しめたし、番外編や実際の印刷物グッズを購入できたのにと残念でなりません。でも、このコラボ企画展のおかげで三日月堂と出会えました。

最初は文庫版の帯に書いてある文字に、ちょっと警戒していたんです。
「涙」とか「絶賛」とか。
年を重ねると現実も十分辛いから映画や小説で心打ち砕かれて涙するのはあまり……という心境でして。心の体力が落ちたといいましょうか。若い頃は、きっと何も考えず読みたいと思ったら読むし、観たい映画も躊躇せず観に行っていた気もするのですが。

でも活版印刷所が舞台というのが気になる。じゃあ、1巻だけ読んでみようか、と。
書店で文庫本を購入し、電車のなかで読み始めたら……見事に帯のような状態です。涙がつつつー。これを読んだ方は「なに、それ嘘くさい」と思われるかも知れません。ですが、泣かせよう泣かせようという感じではなく、むしろ淡々と各自の想いが綴られ話が進んでいくにもかかわらず。生きていると、みんな何がしかの思いを抱えて、外からでは見えないものを抱えて生きていて、やり場のない、行き場のない思いがあって。だからこそ優しさが染みたり、思いやれるものもあるなぁと読みながらしみじみ思うのでした。

まだ来年1月20日まで会期があるので、もう1度【天文学と印刷】展と一緒に楽しむのもいいかもな、と思っております。

ABOUT ME
コアラ
館ファン倶楽部の管理をしているコアラです。 週末は映画館か美術館にいることが多いので、家族からは「今日はどこの館(かん)へ行くの?」と聞かれるようになりました。 皆さんのお役に立てるような館情報を提供していけたらなと思っています。

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