三井記念美術館で開催されている【日本の素朴絵ーゆるい、かわいい、たのしい美術ー】を見てきましたので、その感想と購入したグッズについて書こうと思います。
想像以上に常識を打ち砕かれる、いい意味で打ち砕かれる、展示内容でした。最初から最後まで、ずーーーっと、しかめっ面で見ることは難しいのではないかと思います。思わず、こ、これはないのでは!!と心のなかで叫んでしまったものもありますし、思わず笑ってしまったもの、あまりのインパクトに息を呑むもの、いろいろと印象深い展示でした。
Contents
- 1 展示期間について
- 2 展示品について
- 3 購入したもの
- 4 開催概要&割引について
- 5 まとめのようなもの
展示期間について
この展覧会は展示期間が4期に分かれておりまして
① 7/06〜7/25
② 7/26〜8/04
③ 8/06〜8/13
④ 8/14〜9/01
個人的には①の期間のみ展示されている京都国立博物館所蔵の『竹虎図』が見たかったので展覧会初日に行ってきました。
京都国立博物館の公式キャラクター”トラりん”は、この『竹虎図』をモチーフにして作られたそうです。
— 京都国立博物館 トラりん (@TORARINOFFICIAL) 2019年7月5日
正式名は”虎形 琳丿丞 (こがた りんのじょう)”だそうで、公式プロフィールはこちら。
公式グッズも、めちゃくちゃ可愛いです。前々から、京都へ行ったら絶対ミュージアムショップで購入しようと決めています。でも、通信販売もあります!!心が揺れる!!
しかも、トラりんグッズは売上の一部が京都国立博物館の文化財保護活動に役立てられるとあらば、もう購入しない理由が見つかりません(あくまで私が購入する言い訳を自分にしているだけですが)。
なので、もしかしたら、もしかして、今回の展覧会でトラりんグッズが置いてあるかも?!なんて淡い期待を抱いて行ったのですが、ええ、残念ながらありませんでした。
と、のっけから話が大きくそれてしまいました。いやぁ、トラりんの話をすると興奮してしまって、つい。
そのほか、①の期間だけ展示される大津絵、与謝蕪村筆『奥之細道図巻』(重文)があります。②(7/26〜8/04)の期間だけ展示されるものはないので(①②で展示、もしくは②③、または②〜④というパターンはあります)、もし前期展示(①②)をご覧になるのであれば、①の期間中に行くのもいいかもしれません。『竹虎図』も見られますし、ええ。
個人的に悩んでいるのは後期展示(③④)です。③の期間のみ展示のものはないけれど、②③で展示するものもありまして。④のみ展示されるものもあるし。うーん、うーん。図録を見て、どっちの期間がより心を惹かれる作品が多いか検討しようと思います。うーん。
展示品について
私が気になったものを、展示室ごとに書いていこうと思います。ただし、私が見たのは①の展示期間中(7/06〜7/25)なので、みなさんが見るときには展示されていない可能性もあります。あしからず。
展示室1 立体に見る素朴1
展示室1に展示されているものは、会期中すべての期間で展示されます。展示替えもありませんので急いで見に行っていただくこともないのですが、ですが、もう見応えありすぎて早く見ていただきたい、という個人的な感想。
『埴輪(猪を抱える猟師)』
展示のトップバッターを飾る、この埴輪。
最初から足が動けなくなりそうな、このインパクト。
猪の子ども?を片手に抱え、「いやぁ、また捕れちまった。俺ってなんて優秀な猟師なんだ」とでも言わんばかりの表情。
冷静に見れば、手の長さってそれでいいんでしたっけ?とか、まぁ、そのいろいろあれれ?と思うところはあれど、それがどうした!と言わんばかりの迫力。ですよね、正確に忠実に作ればいいってもんじゃないですよね、という気になってくる不思議な埴輪。(あくまで私個人の感想です)
また、猪の表情がいいんです。ぜひぜひ、じっくりご覧頂きたい。
三井記念美術館の展示室1と2は、展示品を1つの独立したケースに入れて展示するので、展示品を360度見られるのが毎回楽しみです。はて、360度見られないときもあるのかしら。
墨書人面土器 長岡京出土
人面土器は”けがれ”を祓う儀式に使われたもので、展示してある土器に描かれた人面は疫病神なのではないか、とのこと。ほほー、昔の人達のイメージする疫病神って、こんな感じなのかぁ、と思いながら見てました。
いつの時代も、疫病神というのは煙たがられていたんですねぇ。そりゃそうか。
阿弥陀如来坐像
穏やかな、というか、可愛らしい、ほっこりとした表情を浮かべる阿弥陀様。昔の人は、どんなことを思いながら拝んでいたのかなぁ。
鏡像・御正体・懸仏
銅に真っ直ぐな線を引くのは難しいと思うのですが。それが、その線の丸みが個人的には好きです。鏡像の1つには「コモリ」と縦に文字が彫ってありました。わざわざ文字を刻んだのは、自分の絵だと何の神様か分からないかもしれないという謙遜なのか、それともな何か意味があるのだろうか……と妄想しつつ見ておりました。
獅子・狛犬
狛犬と聞くと、神社においてあるサイズを想像すると思うのですが。展示されていたのは、とても小さいものでした。
しかも、なんといいましょうか、顔が人面っぽく私には見えたり。耳が上にピンと立っていないからでしょうかねぇ。
しかも喋りそうなんですよね。「どこから来たの?」って気さくに話しかけてくれそうな。胴の長いところは、ダックスフンドすら想像させるし。
でも、台も含めて1つの石材から掘り出されていることを考えると時間もかかっただろうし形にするのも大変だったんだろうなぁ、なんて妄想。
狛犬(阿形)
西洋の屋根にいるガーゴイルです、って説明に書いてあったらちょっと信じちゃいそうだし。シーサーです、って説明に書いてあったら「へー、面白い形のシーサーだな」って信じてしまいそう。この形状の狛犬は今まで見たこと無いし、今後も見られないかもしれない!と。狛犬というより、ちょっと、その妖怪みたいな?ごめんね。嫌いなわけじゃないんだけど、ちょっと通常想像する狛犬とは違ったものだから。
後ろ足を投げ出すように座り、三つ指をついているかのようにも見える前足、私が前髪かと思っていたのはどうやら眉毛で、背中にはどうみても貝殻がくっついているように見える。この対の吽形も、さぞやユニークな姿だったんだろうなぁ。いつか巡り会えるといいねぇ。どこかにありそうだよねぇ。
ミュージアムショップに絵はがきがあったので購入しました。
狛犬(吽形)
こちらは大きさは狛犬っぽさを感じるものの。とにかく可愛らしい。尻尾がぷくぷくしているし、そうだねぇキツネに近い感じに見えるねぇ。口の開き方も控えめ。どうかすると、スーパーの前で心細そうに飼い主を待っている子のようにも見えて、撫でたくなりました。
展示室2
こちらには『神馬・口取人形』のみ展示されています。この神馬が「こういう馬、いそう!」と思ってしまうほどリアルで。少々脚が短めで、お腹はたっぷりとしていて、足元の蹄の部分の表現が個人的には好きでした。
馬に気を取られずぎて、人形の表情をじっくり見てくるのを忘れていたことに今ごろ気が付きました。無念。後期展示に行ったら、じっくり見よう。
展示室3 素朴な異界
こちらには『地蔵十王六道図』が展示されています。8/4までに3幅、8/6〜9/1までは別の3幅が展示されるそうです。
地獄で苦しいはずの人々が、そんなに泣くでも騒ぐでもなく淡々と責め苦にあってる感じがむしろシュールといいましょうか。でも、この表現、私としては好きだったりします。地獄だからそんなにというかまったく美しい訳でも、可愛いわけでもないのに。なぜだろう。
展示室4 絵巻と絵本
展示室には、絵巻や絵本のあらすじが書いてあるのですが。それを読みつつ、特に絵入本『かるかや』、『つきしま絵巻』、そして『藤袋草紙絵巻』の内容があまりにも、あまりにもで、一人で「えええー、そりゃないよぉおお」と呟いておりました。つきしま絵巻は、最終的には化身だったからいいとしても。うーん、これを読んで当時の人達はどう思ったのか感想を聞きたいなぁ。無理だけど。
あとは、こんな浦島太郎見たことない!という浦島太郎の姿が見られる『うらしま絵巻』(ただし、場面替えがあるそうなので、その浦島太郎がいつまで見られるのかは不明)。文字の美しさと比較すると、絵の素朴さがさらに際立つと申しましょうか。文字も絵も同一人物によるものと考えられているそうで。つまり、どうしても文章も絵もどっちも自分で仕上げたかったのかな、と。自分の子どもや親戚の子供にあげたかったとか??と妄想してしまいました。
『かみ代物語絵巻』のなんとも言えないワニ(こちらも場面替えがあるそうなので、いつまで見られるかは不明)、世の無常を悟って諸国を行脚する『小藤太物語絵巻』ただし主人公は着物姿の雀などなど摩訶不思議な世界へと誘われます。
展示室4 庶民の素朴絵1 大画面の素朴
『中山寺参詣曼荼羅』
一生懸命に遠近法を使おうとしているんだけれども、ちょっと技術的にまだ追いついていない感じの建造物の描き方がとても好きです。画面中央のやや下に描かれている石段。垂直のようにも見えるけど、いや、これは石段。と、少し脳内で補正しつつ見るのが楽しかったです。それに私が同じものを描いたら、もっとひどいことになるわけで……。8/4までの展示です。
『曽我物語屏風』
これまた8/4までの展示品なのですが、この作品も印象深いです。空を駆けているかのように見える武士たち、富士山を登りながら繰り広げられているかのような仇討ち、建物よりも大きいですね人間が、みたいなもうどこを基準にしてみようかと迷うような感じなのですが、でも、闘いの壮絶さは伝わってくる感じ。
展示室5 庶民の素朴絵2 大津絵
素朴なんですが、それが良い味をだしているといいましょうか。
三菱一号館美術館で初めて大津絵を見たときから、一度は、ずらーーーっと大津絵を見てみたいと思ってまして。今回、町田市立博物館というところから作品を借りているようなので、そこで何か展示をやっていないだろうかと期待に胸膨らませ公式ホームページを見ましたら。
2019年6月16日をもちまして、町田市立博物館での展覧会は終了しました。
公式ホームページより
なんということでしょう。なんということでしょう。でも今回のように、どこかに貸出をすることはあるのですね。もし今後、大津絵を中心とした展覧会がありましたら、是非行きたいので。どなたか情報がありましたら、教えていただけると嬉しいです!(できましたら、東京近郊で……)
まずは、今回の展覧会を担当された矢島新さんの本を購入しようかしら。
展示室5 素朴な異界2 地獄絵・六道絵・妖怪・付喪神・奇獣・幻獣
十王図屏風
ひょっとしたら、地獄ってそんなに辛くないのかも。ちょっと、のぞいてみたいかも。そんな大きな誤解を生みそうなのが、この屏風でした。
残念ながら2図が失われてしまっているそうですが、残りの2枚もきっと素朴な感じだったんでしょうねぇ。
今回の展示では、この屏風も含め日本民藝館から何点か出品されていまして。それが、「あぁ、日本民藝館さんが持っていそうだなぁ」という感じで。ちょっと感動しました。同じ温度感を感じるといいましょうか(なんだそれ)。
漂流記集
期間中に場面替えがあるそうですが、私が行ったときはUFOのような物体が描かれている場面でした。横には異国風の衣装を着た女性の姿が。
1803年に常陸国(今の茨城県)の海岸に謎の船が漂着し、そのなかに女性がいたというのです。日本語は話せず、大事そうに木の箱を抱えていた、と。
その後、その女性はどうなったのでしょう??囚われてしまったのか。謎の木箱の中身は何だったのか……気になります。
付喪神絵巻
付喪神、といえばこのシリーズ。
畠中恵さんの”しゃばけ”シリーズ。面白くて、ほろりとする私の大好きな作品なのです。
そこに、付喪神たちが沢山でてきまして。思わず、見入ってしまいました。後期展示では、どんな場面が見られるのか楽しみです。
展示室6 知識人の素朴絵1 俳人・茶人・旦那の素朴絵(アマチュア的)
まさにアマチュア的!という感じなのが『虎図』。この虎なら私でも描けそう、だけどこういう味はでないかなぁ。添えてある字が綺麗だなぁ、などと思いながら見ておりました。
そして、これは素朴や素人の粋を超えている……というのが『布袋図』。
展示室7 知識人の素朴絵2 僧侶の素朴絵(アマチュア的)
僧侶といえば、やはり白隠慧鶴と仙厓義梵。個人的には、仙厓さん派です。仙厓さんの『曲馬図(人間万事)』の群衆の描き方が最高です。
ここで一番心動かされたのは南天棒の『雲水托鉢図』。対の掛け軸なのですが、その構図に思わず「うわ!」と声が出たほど。ちょうど周りに人が居なくてよかった。この作品がクリアファイルになっていて、たぶん後期展示に行ったら購入してしまいそうです。
展示室7 知識人の素朴絵3 アマチュア的素朴絵(文人・俳人)、プロの素朴絵(琳派・浮世絵師など)
この章で尾形光琳の『竹虎図』と出会えます。はぁ。東京に居ながらにして会えるなんて。幸せ。京都へ行かずに見られたから、その浮いた交通費でトラりんグッズ買おう。そうしよう。
ここの章で、『竹虎図』の次に好きになったのが耳鳥斎(にちょうさい)という人の作品です。どこかで、見かけたことがあったような。独特な、漫画チックかつコミカル。芝居にも出演したりして、絵だけを描いて生計を立てていた訳ではないからか、その自由さ、縛られなさ加減が羨ましいほどです。
でも思うんですけど。仙厓さんにしても、ものすごく基礎はしっかりと身に付けた上での、あの力の抜けた感じなんだろうなぁ、と。仙厓さんの竹の描き方とか、ものすごく上手だし。ここ数年の展覧会通いで確信を持ったのは、竹の絵が上手な人って、ぜったい本気で描いたら絵が上手い人、ということ。たぶんですけど。個人的意見です。
展示室7 立体に見る素朴2
薬師如来坐像
個人的イメージとして、薬師如来像ってシュッとした感じが強いのです。それが、この薬師如来像は「あれ、どこかでお見かけしたような。あ……ジャイアン」と失礼ながら思ってしまったのです。
とても、どっしりとした感じが頼りがいがありそうで。「困ってることを何でも言ってみなさい」と仰ってそうな。親身になって相談に乗ってくれそうな、そんな安心感がありました。仏像の中には、キリリっとして心の内を見透かされてそうなものもありますが(普段、ろくなことをしてない後ろめたさから、そう思うのでしょう)、この薬師如来様はそういう緊張感は与えない感じで。
ここでは、円空と木喰明満の仏像も見られます。どちらも、個性的。円空さんのは、とてもシンプルなのになぜか緊張します。木喰さんのは、三日月のような目と眉毛、高い頬骨、その独特なフォルムがインパクト大でした。
購入したもの
図録
約19センチ✕約22センチの小ぶりな図録。角が丸くなってるのも好きです。説明の文字と、コラムの文字(フォント)が違っているのも好きです。
図録には東京展の展示品はもちろんのこと、京都展での展示品も掲載されています。あーーー、これ見たいのに京都展!!というものも多数。でも東京展でしか見られないものもあるし、と自分を慰めてみたり。
絵はがき
マグネット
缶バッジ
ショップでは銀色のビニール袋に入っているため、どのバッジが入っているかは分からないようになっています。全部で5種類?6種類ほど??
すみません、私としては第一希望が『竹虎図』の虎、第二志望が『埴輪』だったもので、他にどんな種類があったのか覚えてなくて、すみません。
そして見事に第二志望を引き当てました!!わーい。
直径は3.6センチほど。
開催概要&割引について
会 期 | 7月6日(土)〜9月1日(日) |
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開館時間 | 10:00〜17:00(入館は16:30まで) ※毎週金曜日は19時まで(入館は18:30まで) |
休 館 日 | 月曜日、7月16日(火) ※ただし7月15日(月・祝)と8月12日(月・振休)は開館 |
入 館 料 | 一般1,300円、大学・高校生800円、中学生以下無料、70歳以上の方は証明書を見せると1,000円 |
リピーター割引
会期中に、一般券もしくは学生券の半券を提示すると一般が1,100円に、大学・高校生は700円になるそうです。
ナイトミュージアム
会期中の毎週金曜日は17時以降の入館料が一般1,000円、大学・高校生500円になるそうです。
学生無料ウィーク
7月20日(土)~7月31日(水)の開館日、学生さんは入館無料!
・2019年7月末時点で学生であることを証明できること
・学生証の提示が必要
その他、詳しい条件についてはこちらをご覧ください。
羨ましい。私も学生の時にどんどん展覧会へ行けばよかった。でも、今ほど展覧会の数も多くなかった気がするし、なにしろ情報が入手できなかったなぁ。いい時代だなぁ。
親子割引
会期中に親子で入館した場合、乳児を除く中学生以下のこども1名につき、保護者1名の一般入館料(1,300円)が700円に。ただし、中学生は生徒手帳呈示。他の割引との併用不可。
まとめのようなもの
展覧会に興味を持たれた方、ぜひおすすめします。どうぞ日本橋へ!!まさか、立体物にもこんなに面白く、ゆるく、興味深いものがたくさんあるなんて!という感じでした。展示候補になったものは、他にどんなものがあるんだろう?!と知りたくなるほど。
2回目は、いつ行こうか本気で悩む今日このごろです。