東京都美術館で開催中の【クリムト展 ウィーンと日本1900】へ行ってきました。実物を見るまで自分がどんな感想を持つか想像もつきませんでしたが、行ってよかった見てよかった、と思っています。
興味のある方は国立新美術館の【ウィーン・モダン展】とあわせて見ていただくと、より楽しめるのではないかと思い、ウィーン・モダン展で見られるクリムト関係の作品についても最後に書きました。
ウィーン・モダン展の感想については、こちらに書きました。
展示内容
【記者発表会】#クリムト展 日本側監修の千足伸行氏による特別解説が行われました。クリムトは完成作が少ない画家とされ、生涯に描いた約200作品のうち、完成作は3分の1ほどとのこと。
貴重な作品が、来年日本にやってきます! pic.twitter.com/9nGQZS11Xi— クリムト展@東京都美術館【公式】 (@klimt2019) 2018年11月20日
私の中では、勝手ながらクリムトは寡作なイメージがあったものですから完成作の少なさにビックリ。約200作品のうち、67作品ぐらいしか完成品がないなんて。ということは今の時点で、かなりの完成品が来日中ということですね!
Chapter1. クリムトとその家族
22222フォロワーを記念して……猫にまつわる出品作をご紹介します🐱✨
猫を抱き、茶目っ気のある笑顔でこちらを見つめるクリムト。みずからデザインした仕事着に身を包んでいます。アトリエの前庭で、当時親しかった写真家によって撮影された写真です。#クリムト展 https://t.co/mTajKUpurL pic.twitter.com/guYODtHhlQ— クリムト展@東京都美術館【公式】 (@klimt2019) 2019年5月7日
この写真が絵はがきになって特設ショップに登場していました。購入しようか迷って、結局やめてしまったのですが。もう入手できる機会もないかもしれないなぁ、と今さら後悔しています。
【作品紹介】クリムトの姪、ヘレーネが6歳の時に描かれた肖像画です。当時としては珍しいおかっぱ頭に凛とした横顔。ひだの付いた白いドレスもキュートです。左上にはクリムトのサインも。#クリムト展 pic.twitter.com/csUlZ1cn7i
— クリムト展@東京都美術館【公式】 (@klimt2019) 2018年11月7日
クリムトの弟であるとエルンストと、クリムトの生涯のパートナーと言われているエミーリエ・フレーゲのお姉さんが結婚し、生まれた子がヘレーネとのこと。1891年に結婚し、1892年には弟さんが死去してしまうなんて……。クリムトはヘレーネの後見人になっていたそうです。この絵は、本当に愛らしく。思わず髪の毛に触れたくなるほどの質感でした。
ふと、同じような女の子をどこかで見たような気になりました。
2015年に東京藝術大学大学美術館で開催された【ヘレン・シャルフベック展】で見た少女でした。
左がシャルフベックの『少女の頭部』1886年の作品。
右がクリムトの『ヘレーネ・クリムトの肖像』1898年の作品。
そして、もう1つ似ているなぁと感じた作品。
左がシャルフベックの自画像で1915年の作品。
右がクリムトの『白い服の女』1917−1918年の作品。
あれ。思っていたより、そんなに似てなかったかな。けれども、どちらも若い頃の作品は精密で、まさにそこにあるようなリアルさを感じたのですが。ふたりとも50代になってきて、いかに少ない色と線で表現できるかという感じになってきたのかな、とか。もう私の勝手な妄想でしかありませんが。
クリムトと家族たちに関する簡単な年表
西暦 | クリムトの 大体の年齢 |
出来事/作品 |
1860 | – | クリムトの姉・クララ誕生(子供の頃から鬱病を患う) |
1862 | 0 | クリムト誕生 |
1864 | 2 | 弟・エルンスト誕生 |
1865 | 3 | 妹・ヘルミーネ誕生(のちに一家を切り盛りする。クララとヘルミーネは実家にて生涯を過ごす) |
1867 | 5 | 弟・ゲオルク誕生 |
1869 | 7 | 妹・アンナ誕生 |
1873 | 11 | 妹・ヨハンナ(のちに結婚し実家を離れる) |
1874 | 12 | 妹のアンナが5歳で亡くなり、母親が鬱病を患う |
1876 | 14 | ウィーンの工芸美術学校で素描・絵画を学びだす |
1877 | 15 | 弟・エルンストも工芸美術学校で学び始める |
1879 | 17 | 装飾絵画の上級過程へ進む
弟・エルンスト、友人フランツ・マッチュと共同で美術やデザインの請負を始める(このときは、絵の先生たちが受けていた注文制作を手伝う形だったようです) |
1880 | 18 | 『レース襟をつけた少女の肖像』 Chapter2にて展示 |
1881/1882 | 19/20 | 『森の奥』 Chapter2にて展示 |
1883 | 21 | 工芸美術学校を卒業 クリムト兄弟とフランツ・マッチュで”芸術家カンパニー”の共同経営 |
1884 | 22 | ハンス・マカルト死去 |
1884/1885 | 22/23 | 『カールスバート市立劇場の緞帳のためのデザイン』 Chapter2にて展示 |
1890 | 28 | ウィーン美術史美術館の壁面装飾(下絵) Chapter2にて展示 |
1891 | 29 | 弟・エルンスト結婚 |
1892 | 30 | 7月に父が脳卒中で亡くなる。12月にエルンストが心膜炎にて死去。エルンストの娘・ヘレーネの後見人になる。 |
1895頃 | 33頃 | 『紫色のスカーフの婦人』 Chapter2にて展示 |
1897 | 35 | 仲間たちとウィーン分離派を結成。1899年まで会長を務める。 |
1898 | 36 | 『ヘレーネ・クリムトの肖像』 Chapter1にて展示 『雨後(鶏のいるザンクト・アガータの庭)』 Chapter6にて展示『パラス・アテナ』 ※ウィーン・モダン展にて展示中 |
1899 | 37 | 7月と9月に息子が生まれる(このことで罪悪感と鬱に苦しむ)
『ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)』 |
1901 | 39 | 『ユディトⅠ』 Chapter5にて展示 |
1901-1902 | 39 40 |
『ベートーヴェン・フリーズ』 Chapter5にて原寸大複製展示 |
1902 | 40 | クリムトにとって3番めの息子が誕生するものの、81日後に死去 |
1905 | 43 | 『女の三世代』 Chapter8にて展示分離派脱退 |
1907 | 45 | 『女ともだちⅠ(姉妹たち)』 Chapter4にて展示 |
1909/1910 | 47/48 | 『アッター湖畔のカンマー城Ⅲ』 Chapter6にて展示 |
1909/1910 | 47/48 | 『家族』 Chapter8にて展示 |
1911 | 49 | アトリエ前で猫を抱いた写真を撮る |
1912 | 50 | 4番目の息子が誕生 |
1913/1914 | 51/52 | 『オイゲニア・プリマフェージの肖像』 Chapter7にて展示 |
1915 | 53 | 母が死去 6番目の息子が誕生 |
1917 | 54 | 『赤子(ゆりかご)』 Chapter4にて展示 |
1917-1918 | 54-55 | 『白い服の女』 Chapter7にて展示 |
1918 | 55 | 2月 ウィーンにて死去 |
1935 | – | 妹・ヘルミーネ死去 |
1937 | – | 姉・クララ死去 |
クリムトのお母さんが、娘さんの一人を幼くして亡くし心を病んでしまったという説明を読んでいて、ギュスターヴ・モローのことを思い出しました。
【ギュスターヴ・モロー】展をパナソニック汐留美術館で見てきました
モローの妹さんも13歳で亡くなってしまい、そのことがモローとお母さんの絆をますます強めることになった、と説明がありました。
嘆き悲しむ母親の姿に、モローもクリムトも、自分がついて支えてあげたいという気持ちになったんだろうか……と。そして、両者ともファム・ファタルを主題に絵を描いたというのもなんだか不思議な共通点があるような。
そして、クリムトは結婚していないけれど子供が沢山いた、官能的な絵を描く人、つまりクリムトは色男という短絡的な捉え方をしていた自分が恥ずかしくなりました。
確かにそれは、彼の一部分ではあるけれど。けれど、彼の生い立ちを考えると家族の病気や突然の死を経験したことで、自分も同じ様になるのではないかという恐怖が常にあっただろうし、だからこその刹那的な感じであり、快楽的な感じであり、生まれては死んでいく循環であり、家族の生活を支えなくてはいけないという責任感と、たとえ自分の好きな絵でなくても注文に応じていかなければならなかったこともあっただろうし。
彼の描く作品は、官能的であり、でもどこかに仄暗さを感じたのは、なるほど、そういう生い立ちも関係しているんだろうか、と思うのでした。
Chapter2. 修行時代と劇場装飾
昨年、ウィーン美術史美術館内のクリムトの描いた壁画を間近で見られる機会があったそうです。羨ましいなぁ。
こちらに、そのときの様子が紹介されています。
Chapter4. ウィーンと日本
【作品紹介】浮世絵の判型を思わせる縦長の画面に、二人の女性が描かれています。左側の女性がまとう衣装の市松模様や、画面右上部の端に見える色彩ゆたかな装飾パターンが目を引きます。クリムトが日本美術の影響を受けていたことがうかがえる作品です。https://t.co/VNHqzpvxsj #クリムト展 pic.twitter.com/W58zRKbDAT
— クリムト展@東京都美術館【公式】 (@klimt2019) 2019年4月5日
— クリムト展@東京都美術館【公式】 (@klimt2019) 2019年2月26日
Chapter5. ウィーン分離派
今回のクリムト展の顔とでもいうべき『ユディトⅠ』。想像以上の美しさでした。額縁を含めて、その美しさ眩さにクラクラ。
【作品紹介】豪華絢爛な「黄金様式」の時代の代表作のひとつ。クリムトがはじめて本物の金箔を用いた油彩画とされます。旧約聖書にも登場するユディトが、匂い立つような官能性をまとう、魅力的な女性として表されています。#クリムト展 pic.twitter.com/UcZyFRkxER
— クリムト展@東京都美術館【公式】 (@klimt2019) 2018年12月3日
『ユディトⅠ』はⅠというぐらいだから、Ⅱはどのような作品かとウィキペディアを見てみたら……あまりにもⅠと違う雰囲気だったもので驚きました。
『ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)』は、その大きさにびっくり。
— クリムト展@東京都美術館【公式】 (@klimt2019) 2019年1月19日
この章では、何点かウィーン分離派展のポスターが展示されていまして。そのなかに『第1回ウィーン分離派展ポスター(検閲後)』というものがあります。
皆さん、「検閲前もあるの??」と仰ってましたが、その謎は図録で解けますので。また、実物は国立新美術館で開催中の【ウィーン・モダン展】で見られます!!
ベートーヴェン・フリーズ(原寸大複製)
【ベートーヴェン・フリーズはこうしてできた!】クリムト展の見どころの一つ、全長34mに及ぶ壁画《ベートーヴェン・フリーズ》の再現展示の様子を特別に公開!
重たい壁を一枚ずつ、数人がかりで慎重に持ち上げ展示します。完成した部屋は圧巻の出来栄え。ぜひ体感ください。 pic.twitter.com/hv1fxNRBgV— クリムト展@東京都美術館【公式】 (@klimt2019) 2019年5月29日
本当に失礼ながら、展覧会場で見るまでは(まぁ、複製だからサッと見ればいいかな)と。ところが、実際にその大きさと、その精巧な複製ぶりにびっくり。
絵だけでなく、実際と同じくガラスや真珠母貝まで埋め込まれているというではありませんか。
1902年の展覧会のためにクリムトにより作成されたこの壁画は、展覧会終了時に解体される予定だったとか。ところが収集家によって買い取られていたこと、のちにオーストリア政府によって買い上げられたことで、現在は元の場所に戻されて展示されている、と。
この原寸大複製は、壁画が修復されたときにオーストリア政府によって作られた複製だそうです。ちょっとした複製ではなく、本気の複製でした。大変失礼しました。ただ、期待値が低すぎたおかげで、展示室ではその美しさに圧倒され、じっくりじっくり何周もしつつ見ておりました。
【作品紹介】「弱い人間の苦悩」を表すひざまずく男女が、甲冑をまとう「黄金の騎士」に懇願しています。騎士は背後の「憐れみ」と「野心」に突き動かされ、行く手を阻む巨悪に立ち向かいます。#クリムト展 https://t.co/pkvnBMMj7d pic.twitter.com/h0WRjcuIJE
— クリムト展@東京都美術館【公式】 (@klimt2019) 2019年4月11日
【作品紹介】第二の壁「敵対する力」で現れるのは、悪の化身テュフォンと、黒髪のゴルゴン三姉妹。右側には「肉欲」、挑発的にこちらを見つめる「淫蕩(いんとう)」、肥え太った「不節制」の擬人像が描かれています。#クリムト展 https://t.co/VNHqzpvxsj pic.twitter.com/j7DUsHvISh
— クリムト展@東京都美術館【公式】 (@klimt2019) 2019年4月12日
【作品紹介】「諸芸術」に案内され、純粋な喜び、幸福、愛を見いだすことができる理想の世界へと導かれます。物語を締めくくるのは、楽園の天使たちの合唱と男女の接吻。「喜びよ、うるわしき神の火花よ」「この接吻を全世界に!」#クリムト展 https://t.co/VNHqzpvxsj pic.twitter.com/Uhibami7rf
— クリムト展@東京都美術館【公式】 (@klimt2019) 2019年4月15日
Chapter6. 風景画
— クリムト展@東京都美術館【公式】 (@klimt2019) 2019年1月27日
真四角のカンヴァスは当時の流行だったとか。
アッター湖畔では四角にくり抜かれた窓から湖を覗いて見ることができる看板も。 https://t.co/NyO7y0vmt2 pic.twitter.com/lI9K1WTjFe— クリムト展@東京都美術館【公式】 (@klimt2019) 2019年5月23日
Chapter7. 肖像画
— クリムト展@東京都美術館【公式】 (@klimt2019) 2019年1月9日
Chapter8. 生命の円環
— クリムト展@東京都美術館【公式】 (@klimt2019) 2019年3月12日
この作品の写真を見たときに、正直見るのがつらいかなぁ、と。自分の行く末が描かれているような老いた女性の姿があまりにも強烈で。
実際に見てみると、可愛らしい子どもの姿、愛おしいようにその子を抱く女性、そしてあまりにもリアルに描かれた血管、悲観しているように首をがっくりと落とす女性。この対比が、あまりにもあまりにも、と思ったものの。描きこまれた図形や、色合いを見て、また全体を見て、個々の人物を見ていく、ということを繰り返しているうちに最初の「うーん」という気持ちが不思議と薄れていきました。
老いは誰にでも避けようのないもので。クリムトは家族の病気や死を通して、自分もそうなるのじゃないかという心配も抱えていたそうで。でも、どこかに死の先にあるそういった心配からの解放的なものも、どこか感じていたんだろうか。そんなことを考えつつ見ていました。
購入したもの
グッズを購入したら、このビニール袋に入れてくれました。くっしゃくしゃですみません。
絵はがきは、こちらの紙袋に入れてくれました。
絵はがき
通常タイプの絵はがき
縦長版絵はがき
四角い絵はがき
マグネット
約4センチ✕8.3センチです。よくぞ、額縁まで含めてマグネットにしてくださった!と。
この作品は、額縁までもが美しかったです。
A4ダブルクリアファイル
全部で11種類ありまして、すごい悩んで、悩んで、こちらにしました。
図録
表紙を開けた瞬間から、これは購入してよかった!と叫びました。心の中で。
こちらで通信販売もあるようです。中身も少し紹介されています。
図録は表紙が二種類ありまして、私が購入した『ユディトⅠ』と、『女の三世代』バージョンがあります。ちなみに、『女の三世代』版は特設ショップと、東京都美術館内のミュージアムショップでのみ発売とのことです。
ガチャガチャ
特設ショップを出たところにありました、ガチャガチャ。1回500円ということで、展示を見る前はためらっていたのですが。
『ベートーヴェン・フリーズ』の原寸大複製に感激し、やらずにはいられませんでした。
千円札を500円玉2枚に両替する機械もありました!
左のモチーフは、正しくは↓こういう形で描かれていました。
最初、原寸大複製を見たとき彼女の髪の部分だけに目がいってしまい「なんだろう??ウツボ??」と。
見えませんか?見えないか……。
国立新美術館のウィーン・モダン展で見られるクリムト関連の作品について
ウィーン・モダン展は、絵画・家具・洋服・建築といった様々な角度から19世紀〜20世紀初頭のウィーンに関する展示で構成されています。まるで、その時代にタイムスリップしたような感覚でした。
クリムト関連だけでなく、素晴らしい作品が所狭しとありますので個人的にはとてもおすすめの展覧会です。ここでは、どんなクリムト関連の作品が見られるかについて書こうと思います。
クリムトの弟が手がけた額縁
東京都美術館のクリムト展でも、クリムトの弟・グスタフが手がけた額縁を見ることができました。『ユディトⅠ』、『ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)』。
国立新美術館では『パラス・アテナ』が見られます。
【兄弟合作】「パラス・アテナ(PALLAS ATHENE)」と刻まれた額縁はグスタフ・クリムトの弟、ゲオルクによるもの。この銅板の額縁は、勝利の女神パラス・アテナを描いたこの作品の好戦的な性格を強調していると言われます。 pic.twitter.com/K761j70u6Z
— ウィーン・モダン展 (@wienmodern2019) 2019年6月13日
クリムトは19世紀末、型にはまった芸術の潮流と決別し「ウィーン分離派」の立ち上げをきっかけに
芸術と学術の庇護者の女神『パラス・アテナ』を描きました。
彼女は首に「ゴルゴン」というギリシア神話の恐ろしい怪物をまとっています。
威厳に満ちた表情が印象的ですね。#ウィーンモダン展 pic.twitter.com/ydKUpURXMX— ウィーン・モダン展 (@wienmodern2019) 2018年10月11日
パラス・アテナの右手に握られているのが、ヌーダ・ヴェリタスなんだそうです。
素描
東京都美術館にも素描が展示されていましたが、個人的にはぜひ国立新美術館の素描も。こんな大胆な素描が!と思うものも含め、見ごたえがありました。
ウィーン・ミュージアムには400点を超えるクリムトの素描が所蔵されています。 #ウィーンモダン展 にはその一部をご紹介しています。写真ではなかなか分からない、繊細な素描の数々をぜひ本展でご覧ください! pic.twitter.com/GsBrfie6FK
— ウィーン・モダン展 (@wienmodern2019) 2019年6月12日
★開幕まであと2日★
クリムトのデッサンをご紹介。1枚目は、クリムト25歳の作品。2枚目は、39~41歳に「ウィーン大学大講堂天井画」に描かれたもの。3枚目は、40歳の時の大作≪ベートーヴェン・フリーズ≫の習作。
若い頃は輪郭をしっかりと描いていたのが分かりますね。#ウィーンモダン展 pic.twitter.com/MHdI4NtzHd— ウィーン・モダン展 (@wienmodern2019) 2019年4月22日
ウィーン・ミュージアムには、400点を超えるクリムトの素描が所蔵されています。ウィーン・モダン展では、クリムト初期から晩年に至るまでの素描をご紹介します。#ウィーンモダン展 #クリムト pic.twitter.com/RBMKeSsX8v
— ウィーン・モダン展 (@wienmodern2019) 2019年3月21日
ハンス・マカルトの作品
皇帝フランツ・ヨーゼフ1世によってウィーンに招聘されたマカルトは売れっ子の肖像画家となり、また彼のインテリア・スタイルを真似する人たちもいたとか。
1879年ウィーン市主催、皇帝夫妻の銀婚式祝賀パレードのためのスケッチです。
パレード当日は14,000人の参加者たちが行進し、沿道には30万人もの観客が集まったそう。
このパレードを先導したマカルトの名声は一気に高まり、今日でもマカルトのパレードとして語り継がれています。#ウィーンモダン展 pic.twitter.com/kc1lRSfl6d— ウィーン・モダン展 (@wienmodern2019) 2019年5月14日
しかし、マカルトが44歳の若さで死去したためマカルトに任せるはずだった仕事の一部がクリムトたちの芸術家カンパニーに委託されたそうです。それがウィーン美術史美術館の壁面装飾の仕事だったとか。
若かりし頃の作品
こんなにも、絵っぽい絵を描いていたのか!と(なんだその感想)。クリムト独特の世界観が生まれる前の作品も素晴らしかったです。
中央の円の中に描かれた2人の子どもと女神。その両側には、たくましい筋肉の羊飼いが描かれています。
この絵はクリムトが22歳のときに描いた絵。
筋肉隆々な羊飼いの青年のポーズは、システィーナ礼拝堂を飾るミケランジェロが描いた青年像の影響を受けていると言われています。#ウィーンモダン展 pic.twitter.com/RYADIOHNEQ— ウィーン・モダン展 (@wienmodern2019) 2019年5月1日
クリムトが旧ブルク劇場の観客席を記録として描いた、クリムト初期の作品です。一人一人の肖像が緻密に描かれていますね。#ウィーンモダン展 #クリムト pic.twitter.com/sdAoiM1pAg
— ウィーン・モダン展 (@wienmodern2019) 2019年3月30日
歴史主義の影響が見て取れる、クリムト初期の作品です。 #ウィーンモダン展 https://t.co/orxXBOOrfo
— ウィーン・モダン展 (@wienmodern2019) 2019年3月2日
なんとも言えぬキツネの表情、ぜひご覧頂きたいです実物を。
肩を抱き合い、接吻を交わそうとする二人・・・。暗い背景や二人を見下ろす不気味な女たちが、どこか不安さえ感じさせます。
掛け軸のような帯状の構図や、画面の外から植物を唐突に伸ばす手法には、日本美術の影響が見られます。#ウィーンモダン展 pic.twitter.com/sclNs8QpnZ— ウィーン・モダン展 (@wienmodern2019) 2019年1月29日
11年後のエミーリエ
クリムト展に『17歳のエミーリエ・フレーゲの肖像』が展示されていましたが。ウィーン・モダン展では、その11年後のエミーリエの肖像を見ることができます。
凛とした雰囲気でたたずむ、この女性は「エミーリエ・フレーゲ」。
恋多きクリムトが最も親密に、生涯のパートナーとして愛した女性です。身につけているゆったりとしたドレスも、装飾的でとてもおしゃれ。
ドレスの柄や背景表現に、日本美術の影響も彷彿とさせます。#ウィーンモダン展 pic.twitter.com/gK5q3Y5i6k— ウィーン・モダン展 (@wienmodern2019) 2018年10月11日
東京展会場では、クリムト《エミーリエ・フレーゲの肖像》を写真撮影していただけます。本展撮影をされる場合は、ルールを守っていただきますよう、ご協力をお願いいたします。 https://t.co/Nx2uCMEqXO
— ウィーン・モダン展 (@wienmodern2019) 2019年4月15日
あの服の実物が!!
猫が芸術家たちにインスピレーションを与えることは多かったようで、芸術家には愛猫家が多くいるといわれています。クリムトもその一人。大事そうに愛猫を抱く写真を見ると、クリムトが大切にしていたのが伝わってきますね。#ウィーンモダン展 pic.twitter.com/8i7SaaaoEA
— ウィーン・モダン展 (@wienmodern2019) 2019年3月5日
嬉しそうに猫を抱くクリムト。彼が着ている、その実物を東京展では見ることができます!
東京展では、クリムトが着ていた実物のスモックを見ることが出来ます。先日このアカウントでもご紹介した猫を抱える写真をはじめ、クリムトはほとんどの写真でスモックを着用しています。クリムトにとってスモックは一張羅だったのかもしれませんね!肩の刺繍がおしゃれです♪#ウィーンモダン展 pic.twitter.com/Gfsok7wigl
— ウィーン・モダン展 (@wienmodern2019) 2019年3月8日
その隣には、エミーリエの衣装の複製が。
エミーリエは姉妹とともにウィーンで人気のサロンを経営し、ドレスのプロデュースをしていました。一説には、クリムトが着ていたスモックもエミーリエがデザインしたものだったとか。
本展では、エミーリエが着ていた真っ白なドレスの複製を展示します!
華やかなドレスですね♪#ウィーンモダン展 pic.twitter.com/zRxMMlBDrB— ウィーン・モダン展 (@wienmodern2019) 2019年3月12日
二人の写真なども展示されているので、しばし彼らの関係について思いを馳せておりました。
クリムトからエミーリエにプレゼントされたもの
ファッションサロンの経営者だったエミーリエ・フレーゲは、クリムト最愛のパートナーでした。この写真では、ウエストがゆったりとした近代的なドレスに、クリムトからの贈り物の宝飾品を身に着けてほほ笑んでいます。本展では、クリムトからエミーリエに贈られた櫛も展示しています。 pic.twitter.com/4Km6HFaFPX
— ウィーン・モダン展 (@wienmodern2019) 2019年6月20日
クリムトの死後、エミーリエはクリムトに関するものを廃棄してしまったとか。ただ、この櫛が残っているところを見ると本当は捨てたくなかったのかな、とか。
当時から有名だったクリムトが亡くなり、もし自分の身にもなにかあった場合、手紙などを残しておくと家族や後世の人達の目に自分たちの大切な思い出が晒されてしまうという気持ちだったのか。
しかし、クリムト展の図録には1970年代末に400通近い葉書などのコレクションが見つかった、と記載がありました。廃棄したのは一部で、クリムトからの手紙などで特に手元に残しておきたかったものは大切に残しておいたのかしら??
クリムトの完成した作品だけ取り上げるのであれば、やはりクリムト展の方が展示数も多いのですが。ですが、ですが、彼の生きた時代、彼のウィーン分離派での活動の一端、若かりし頃の原画(もうこれが!素晴らしい!)も見られますし。出品目録をみていただければ、もうこれだけの規模のものをいっぺんに見られそうにないことがお分かりいただけるかと思います。
お時間があれば、ぜひウィーン・モダン展へもお運びいただければ、と思う今日このごろです。