本日から府中市美術館で始まった『へそまがり日本美術展』行ってまいりました。
上記の公式ホームページでは、「へそまがり度診断」もできます!
今から遡ること一年前(2018年)に同じく府中市美術館で開催された『リアル 最大の奇抜』の会場には、もうこの看板が。
一年前から、この準備万端な感じ。
美術館の方々のただならぬ気迫を(勝手に)感じ、この一年とても楽しみにしてました。
ここがスゴイ!府中市美術館の”春の江戸絵画まつり へそまがり日本美術”
私が府中市美術館で”春の江戸絵画まつり”が行われているのを知ったのは、4年ほど前でした。どうやら2005年から続いているそうなのです。もったいないことをしました。面白そうな展示が多く、もっと早く知りたかったなぁ。(正確には、2012年から”春の江戸絵画まつり”と称されたそうです)
展示に大幅な入れ替えがある
前期展示と後期展示では、大幅な作品の入れ替えがあります。
遠方に行かずともここで見られてすごく嬉しい!!!という作品の数々、そして個人蔵の作品が沢山。ここまで借りられるのは、府中市美術館の関係者の方々がいかにアチコチに太いパイプと信頼を持たれているかの証しなんだろうなぁ、凄いなぁと感心しております。
2回めが半額になるチケットがついてくる
観覧券を購入すると、2回目が半額になるチケット(今回の展覧会のみ1回有効)がもれなくついてきます。太っ腹!
そもそも、観覧券が一般700円というだけでもありがたいのに。
前期展示は4月14日(日)まで。後期展示は4月16日(火)〜5月12日(日)まで。今から後期展示も行く気満々です。
解説が好き!とにかく好き!
展覧会を担当されている学芸員の金子信久さんの解説が、とても面白くて、温かみがあって、クスっとしてしまうので是非!(すべてが金子さんの解説じゃないかもしれませんが)
図録では、どうしても図録らしい口調(じゃなくて文体)に改められていますが。現地の解説では、やさしい口調(いや、文体か)ですので、ぜひ!
金子さんによる展覧会講座も3月30日(土)14時からあるそうです。
※ 4月27日(土)14時からも追加されていました!
また毎週日曜日には14時から20分のスライドレクチャーがあります。
昨年、スライドレクチャーに参加してみましたら金子さんによる解説で。とにかく楽しそうにソフトボイスで話されるのが、これまた聞いていても楽しくて。20分では物足りず。
金子信久さんが出版されている本の一部は、こちらです。
画家解説がある
作品リストの他に”画家解説”の紙が準備されています。
作品の横に作品解説はあるけれど、個々の画家についての説明は載せていないので、こちらの紙を御覧ください、とのこと。至れり尽くせり。
作品リストも画家解説も、前期展示用と後期展示用が別々に用意してあるところも、きめ細かいサービスだなぁ、と感心しています。
初公開作品が44作品!
「へそ展日記」に詳しく書かれていますが、初公開作品の多さにびっくり。
通期展示である伊藤若冲の『福禄寿図』もそのうちの1つ。あまりの作品の綺麗さにうっとりしました。大事に大事にされてきたんだろうなぁ。
比べるコーナーが面白い!
1つの作品を、同じような題材の別の画家の作品と比べるコーナーが数箇所ありました。これまた面白くて。画家の技量の違いととるか、表現の違いと取るか、いや、これとこれを並べちゃうんですね!!という筆頭は家光公の『鳳凰図』と呂健の作と伝えられる『百鳥図』。(残念ながら『百鳥図』は前期展示のみ)
比べるコーナーではないのですが、徳川家綱の『鶏図』と、その表装につかわれている真正面むいた龍との対比が面白くて、一人で笑っておりました。マスクしていてよかった。
ガラスなしで見られる屏風
え?ガラスなしの展示?!と驚いたのが中村芳中の『十二ヶ月花卉図押絵貼屏風』。
本物??レプリカかな??って何度も見返してしまいました。
個人蔵の作品のようですが、よくぞ許可されたなぁ、と。ありがとうございます。屏風をガラス無しで見る機会って私はなかなかないので、貴重だなぁとじっくりとっくり拝見してきました。
絵はがきがお値打ち価格!
ショップでは絵はがきが1枚70円。すごく、お財布に優しい。優しいけれど、お値打ちすぎて申し訳なくて友人たちへプレゼントしようと同じものを複数購入してきました。
ちなみに絵はがきなどのグッズは、展覧会へ行かなくても美術館に入って左側にあるショップで購入できます。また、展示を見終わった2階にもショップがあります。
大人もクイズに答えて絵はがきをもらえる
展覧会場の入口で、こちらをいただけます。
子どもさん用のクイズなのですが、大人も参加できて、全問正解すると1階のチケット売り場で絵はがき1枚と交換できます。
絵はがきは、そのときによって選べるものが違うようですが今回はこちらを頂いてきました。
※追記※
後期展示へ行ったところ、展示室の入口で「前期とは違うクイズになっていますから、よろしかったらどうぞ。選べる絵はがきも変わっていますから」と係の方から案内がありました。こういう優しい声をかけてもらえるのも府中市美術館の良いところだなぁ、と。
チケットを購入するときも、1回目のチケットについていた割引チケットを出したら「2回目のご来館ありがとうございます」と。こういうやりとりが、またここに戻ってこよう!と思う理由の一つだな、と(大袈裟っぽく感じるかもしれませんが本気)。
”かけじくしおり”が作れる
しおりが用意されていて、自分の好きな絵柄のスタンプ&「へ」の落款(というかスタンプ)を押して栞の出来上がり!
「へ」を押し忘れました……。
図柄は6種類から選べます。
このスタンプセットが売られていたら、思わず買っていたかもしれません。
小冊子『麟祥院の文化財』
後期展示のみの竜の襖絵。通常は非公開という、大変貴重な作品。
本日(4/16)から、後期展示が始まりました!
画像は後期の目玉のひとつ、竜の襖絵。作者は海北友雪です。
通常は非公開の京都・麟祥院からやってきました。お寺のご住職が「とぼけた竜」とおっしゃる、その味わい深い表情が
なんともいえず魅力的、かつ迫力満点の作品です。
ぜひ、ご覧ください! pic.twitter.com/rOojnqhRmX— へそまがり日本美術展@府中市美術館 【図録制作チーム公式】 (@hesoten2019) 2019年4月16日
こちらの作品は今後修復される予定があり、修復後は作品保護のためにお寺には帰らず京都国立博物館に寄託されるそうです。(お寺には複製画が代わりに入るとか)
確かに近づいてみると傷んだ箇所が。
この展示が終わったら、お寺に帰ることなくすぐに修復されるのかはわからないのですが。慣れ親しんだ環境から移ることに、なんだか竜が寂しさを感じているような表情に見えてしまって、ええ、勝手な妄想なんですが、なんだか涙ぐんでしまいました。竜の角が下がっているから、余計にそう思えてしまうのかもしれません。
一階の受付では、『麟祥院の文化財』という小冊子がいただけるので興味のある方は是非。
麟祥院は徳川家光公の乳母・春日局のために造立されたとか。
障壁画がどういう配置なのかという図説、題材についての説明が書かれています。
私が購入したもの
図録
今回の図録は会場だけでなく、本屋さんでも購入できるそうです。
帯に「どこまで本気なのか!?」と書かれていますが、府中市美術館さんの本気度もすごかったです。
絵はがき
徳川家光公が描かれた絵に釘付け。
可愛くて、釘付けになりました。
確かに尾っぽが2本から3本に枝分かれしている!でも可愛い!舌が見えるのも可愛い。
家光公の作品3枚を、展示会場と同じ順番に並べてみました。特に意味はありません。ありませんが、笑っています。自分が描いたら、もっとすごいことになりそうなのに、人様の絵を笑ってはいけませんが。いけませんが、この絵を賜った家臣たちの本音を聞きたい気もします。
ちなみに、一番左の『鳳凰図』は4月14日(日)までの前期展示のみ。この3枚が同時に見られる前期展示へどうぞおでかけください!
へそ展、前期展示も残すところあと9日。
そう思うと、なんだかソワソワしてきます。
あれも、あれもももう一度見なきゃ、と気が急いてくるのです。もちろん「ぴよぴよ鳳凰」も。
図版で見てもかわいいのですが、実物はやっぱりいい。
皆さんにも是非、あの三ツ葉葵紋に囲まれた姿を見てほしいです! pic.twitter.com/slrBNszoCC— へそまがり日本美術展@府中市美術館 【図録制作チーム公式】 (@hesoten2019) 2019年4月5日
大好きな仙厓さんの作品も見られました。この『十六羅漢図』は、なかなか16人見つけられず。帰宅してから、やっと、もしやこれが16人めかな??と。
あと、仙厓さんの『竹虎図』も好きです。大好きです。虎に見えない虎の、その仕草の可愛いこと。『十六羅漢図』も『竹虎図』も全期展示なので、後期展示でまたゆっくり見たいと思います。
てれん、と伸ばした後ろ足が可愛いです。
うわぁああ〜って呟いてたと思います。思わず声がもれてしまうぐらい、可愛かったです。今回の「へそまがり」という趣旨を無視するかのように、可愛いを連発して申し訳ないですが、可愛いから仕方ない(開き直り)。
以前、根津美術館の『墨と金 狩野派の絵画』で狩野山雪の『梟鶏図』を見て心奪われましたが。今回のこの絵も吸い寄せられました。この余白といい、梟の表情といい好きだなぁ。
図録の解説を読みまして、ほほ〜なるほどな、と。掛け軸の広げ方を考慮した描き方、なるほどねぇ。(気になる方は、図録を手にしてみてくださいませ)
すごく、美しい墨の色でした。この写真は、あくまで作品のイメージを掴んでいただきたくて。とても美しい作品でした。墨跡に見惚れました。
それにしても、なにか困ったようなお顔。どうされたのかしら。福禄寿は鶴とセットで描かれることが多いそうですけど、鶴がいないということは鶴の書き置きかしら(そんなわけない)。
府中市美術館の館内にも『福禄寿図』が。
会場入口では特大『兎図』がお出迎えしてくれます。
缶バッジ・磁石付きクリップ
三種類ありましたので、そのうち三種類購入。ええ、つまり全種類。
いや、本当は1つだけにしようと思ったのですが家光公(の描かれた兎)が「私を置いていくなんてことはありえない」と仰っていたように思えたもので。
約2.8✕4センチの磁石付きクリップです。
こちらの缶バッジと、磁石付きクリップは1階のショップでのみ発売とのこと。
缶バッジを入れてくれた袋も可愛かったです。
一筆箋
自分たちの足跡を見てるのが可愛いですよね。白い犬なんて、楽しそうに笑ってますよね。可愛いなぁ。
A4クリアファイル
白い紙を入れてみますと、こうなります。
絵では自分たちの足跡を見つめて楽しそうな二匹。クリアファイルでは、なかに挟んだものを見ているような感じになります。可愛い。
JR中央線・武蔵小金井駅からの行き方
JR中央線・武蔵小金井駅の中央改札を南口方面へ出て、すぐ見えてくるバス停が京王バスの1番のりばです。
ここから府中駅行(一本木経由、武71)に乗り「一本木」で下車。乗車時間は約15分ぐらいでしょうか。
同じ乗り場から、府中駅行(学園通り郵便局経由、武73)というのがありますが、こちらではなく一本木経由、武71でお願いします!
一本木の停留所で降りましたら、乗ってきたバスの進行方向と同じ方向に少し歩いていくと
横断歩道がありますので、歩道を渡ると
左手前方に見えてくる白い建物が府中市美術館です。
復路・武蔵小金井駅行きのバス停は、行きに降りた停留所よりも駅寄りに戻った場所にあります。
上の写真は、行きに降りたバス停から駅方向を振り向いたところです。
左斜め前方に黄色い看板が見えますが、それがミニストップの看板です。
ミニストップの少し手前にバス停があります。
ミニストップの手前が、バス停です。
府中市美術館の入口を入って左側には、バスの時刻表が表示されていてとても親切!
なお、この写真は2019年3月16日時点のものです。変更があるかもしれませんので、必ず入口でご確認くださいませ。
また、武蔵小金井南口行きのバスの時刻は、私が上記でご説明したバス停(一本木バス停)とは違うバス停(天神町二丁目バス停)です。どうやら、天神町二丁目の次が、一本木のようです。
まとめにならないまとめ
これは!(これでいいのかしら、ふふふ)というものから、これは!(うむむ、これは凄い)というものまで幅広く、日本画メインでありつつ油絵、現代のイラストもあり、また第四章では「苦み」を主題としています。絵で苦み??と思いましたら。なるほど。これは、苦い。普通ならば、ちょっとじっくり見ないかもしれないけれど、うむ、ここで1回しっかり向き合ってみよう、と思いました。食わず嫌いはいけないな、と。
この展示をみたあとに、東京都美術館で開催中の【奇想の系譜展】後期展示を見に行きました。そうしましたら、前期展示で少し苦手意識を感じた曽我蕭白の作品がなんだか面白くて、もっと見たくてしかたなくて。がっつり向き合って見ることができました。これも、へそ展の効能だと喜んでおります。
この展覧会が気になっている皆さま、なかなかない展示構成だと思いますので是非お出かけくださいませ。
この先に待ち受けている、へそまがりワールドへ思い切って飛び込んでみませんか?